1. 序論:G検定からE資格への飛躍
本報告書は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する「E資格(JDLA Deep Learning for ENGINEER)」について、その全容を包括的に調査・分析したものである。本調査の主たる対象読者は、既に同協会の「G検定(ジェネラリスト検定)」に合格し、AI・ディープラーニングの基礎的な概念やビジネス活用に関するリテラシーを習得した層を想定している。
G検定が「AIで何ができるか(What)」を問うジェネラリスト向けの資格であるのに対し、E資格は「AIをどのように構築するか(How)」を問うエンジニア向けの資格である。近年のAI技術の社会実装は急速に進展しており、概念を理解しているだけでなく、実際にコードを書き、モデルを構築し、精度向上のためのチューニングを行える「実装力」を持った人材への需要が逼迫している。
本報告書では、資格の概要、取得によるキャリア上のメリット、認定プログラムの選定から合格に至るまでの詳細なロードマップ、合格者・不合格者の定性的な分析、そして過去5年間の統計データに基づく定量的な試験傾向の分析を行う。特に、G検定合格者が次のステップとしてE資格を目指す際に直面する「数学の壁」や「実装の壁」をどのように乗り越えるべきかについて、実用的な観点から詳述する。
2. 資格の概要
2.1 E資格の定義と産業的意義
E資格(エンジニア資格)は、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する試験である。JDLAは、日本の産業競争力を向上させるために、ディープラーニングを産業活用できるエンジニアの育成を目指しており、E資格はそのスキルを担保する国内のデファクトスタンダードとして機能している1。
G検定合格者が保有している知識は、あくまで「活用のための知識」である。対してE資格合格者に求められるのは、ライブラリの裏側にある数理モデルを理解し、ブラックボックス化させずにAIを制御する能力である。これは、AI開発プロジェクトにおいて、技術的な実現可能性(Feasibility)を判断し、予期せぬ挙動に対して原因を究明するために不可欠な能力である。
2.2 受験資格:JDLA認定プログラム制度
E資格の最大の特徴は、誰でも受験できるG検定とは異なり、厳格な「受験資格」が設けられている点である。受験希望者は、JDLAが認定した教育プログラム(以下、認定プログラム)を、試験日の過去2年以内に修了していなければならない2。
認定プログラムの役割
認定プログラムは、高等教育機関や民間事業者が提供する教育講座であり、JDLAが定めるシラバスを網羅しているか審査を受けている。この制度の存在意義は、単なるペーパーテスト対策(一夜漬けの暗記)による合格を排除し、一定期間(数週間〜数ヶ月)の体系的な学習と演習を経た人材のみを認定することにある。したがって、E資格の保有は「試験に受かる知識」だけでなく、「専門的な教育課程を修了した実績」の証明ともなる。
受験資格の有効期限と特例措置
通常、修了から2年以内が受験資格の有効期限である。しかし、過去にはパンデミック等の影響による試験中止や台風接近等の不可抗力に伴い、有効期限が「2年半」に延長される特例措置が取られた事例も存在する(例:2024#2における台風10号接近時の措置など)2。受験者は自身の修了認定日がいつであるか、また最新の試験要項で特例が適用されていないかを常に確認する必要がある。
2.3 試験形式と実施環境
- 試験方式: CBT(Computer Based Testing)方式。全国の指定試験会場(テストセンター)でPCを用いて回答する。
- 試験時間: 120分
- 出題数: 100問〜105問程度(開催回により微増減あり)2。
- 出題形式: 多肢選択式。
- 持ち込み: 不可(クローズドブック)。G検定のような自宅受験・参考書閲覧可ではないため、数式や関数名を正確に記憶している必要がある。
2.4 出題範囲(シラバス)と技術的深度
E資格の試験範囲は、JDLAが策定するシラバスに基づいている。このシラバスはAI技術の進歩に合わせて頻繁に改訂されており、最新の技術トレンドが反映される。主要な4分野は以下の通りである。
1. 応用数学 (Applied Mathematics)
G検定では概念理解に留まっていた数学的基礎を、計算可能なレベルまで掘り下げる。
- 線形代数: 行列の積、逆行列、固有値・固有ベクトル、特異値分解(SVD)。これらはニューラルネットワークの重み更新やデータ圧縮の理解に必須である。
- 確率・統計: 確率分布(ベルヌーイ分布、マルチヌーイ分布、ガウス分布)、ベイズ則、情報理論(エントロピー、KLダイバージェンス)。
- 情報理論: モデルの不確実性を定量化するために用いられる。
2. 機械学習 (Machine Learning)
深層学習以前の古典的な機械学習手法とその評価方法。
- アルゴリズム: 線形回帰、ロジスティック回帰、SVM、決定木、k-means法など。
- 検証手法: 交差検証法、混同行列、ROC曲線、AUC、適合率、再現率、F値。
- 前処理: 正規化、標準化、欠損値処理、次元削減(PCA等)。
3. 深層学習 (Deep Learning)
試験の中核をなす分野であり、最も出題数が多い傾向にある。
- 基礎理論: 順伝播、逆誤差伝播法(Backpropagation)、勾配降下法(SGD, Adam, RMSprop等)、活性化関数(Sigmoid, ReLU, Softmax)。
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク): 画像処理の基礎。畳み込み層、プーリング層、有名モデル(VGG, ResNet, EfficientNet等)の構造理解。
- RNN(再帰型ニューラルネットワーク): 自然言語処理や時系列データの基礎。LSTM、GRUのゲート構造、Attention機構、Transformer、BERT、GPTなどの最新アーキテクチャ。
- 深層強化学習: DQN、A3Cなどのアルゴリズムと報酬設計。
- 生成モデル: VAE, GANs, 拡散モデルなどのメカニズム。
4. 開発・運用環境 (Development & Operations)
モデルを実装・運用するための実務的知識。
- ミドルウェア: Python、NumPy、Pandas、scikit-learn。
- フレームワーク: PyTorchまたはTensorFlowを用いた実装コードの読解と穴埋め。
- 軽量化・高速化: 量子化、蒸留、プルーニング、分散学習の基礎。
- XAI(説明可能AI): 2024年のシラバス改訂で強化された分野。Grad-CAM, LIME, SHAPなどのモデル解釈手法4。
3. 資格取得によるメリット
G検定ホルダーがさらにE資格を取得することには、単なる「知識の証明」を超えた、キャリア戦略上の明確なリターンが存在する。
3.1 実装力の客観的証明と市場価値の向上
AIエンジニアの採用市場において、「AIに興味がある」人材は飽和状態にあるが、「数理的な裏付けを持って実装できる」人材は依然として不足している。E資格は、認定プログラムという金銭的・時間的コストのかかるハードルを乗り越え、かつ難関試験を突破したという事実そのものが、候補者の「本気度」と「基礎能力」を強力に証明する。
特に未経験からAIエンジニアへの転職を目指す場合、実務経験の不足を補うためのポテンシャル採用の材料として、E資格は最も有効なライセンスの一つである5。また、評価制度に資格手当や報奨金を導入する企業も増加しており、社内での昇進や配置転換のきっかけとしても機能する。
3.2 CDLE (Community of Deep Learning Evangelists) への参加権
E資格(およびG検定)合格者のみが参加を許されるコミュニティ「CDLE」は、国内最大級のAI人材ネットワークである1。E資格を取得することで、このコミュニティ内でより高度な技術的交流が可能となる。
- 技術的な相互研鑽: CDLE内では、特定の技術テーマ(例:Kaggle部、生成AI部など)ごとの活動が活発であり、最先端の論文輪読や実装コンペが行われている。G検定合格者として既に参加している場合でも、E資格取得者(通称「E持ち」)となることで、コードレベルの議論やエンジニアリングの話題において主導的な役割を果たすことが可能となる。
- クローズドな求人情報の獲得: CDLEメンバー限定で公開される求人や、JDLA会員企業からのスカウトなど、一般の転職サイトには出回らないハイクラスなキャリア機会にアクセスできる。
3.3 ブラックボックス化からの脱却と応用力
現代のAI開発では、高レベルなAPIやライブラリを用いれば、中身を理解していなくても「とりあえず動くモデル」を作ることは容易である。しかし、実務では「精度が出ない」「学習が収束しない」「推論速度が遅すぎる」といった問題に必ず直面する。
E資格の学習課程では、これらのライブラリが行っている処理(勾配計算やパラメータ更新)を数式レベルで理解し、時にはスクラッチ(ライブラリを使わずにゼロから)で実装する訓練を行う。これにより、トラブルシューティング能力や、論文を読んで最新の手法を自社のタスクに応用する能力(リサーチエンジニアとしての素養)が養われる5。
4. 合格に向けたロードマップ
G検定合格者がE資格合格を目指す場合の標準的なロードマップを以下に示す。最短でも3ヶ月、通常は半年程度の学習期間を見積もることが推奨される。
フェーズ1:現状分析と認定プログラムの選定(期間:2週間)
まず行うべきは、自身のスキルセットと認定プログラムのミスマッチを防ぐことである。認定プログラムは非常に高額(数万円〜数十万円)であるため、慎重な選定が必要となる。
認定プログラムの比較・選定基準
2025年現在、多数の事業者がプログラムを提供しているが、大きく分けて「価格重視(eラーニング主体)」と「サポート重視(ハンズオン・メンタリング付き)」の二極化が進んでいる6。
| プログラムタイプ | 特徴 | 代表的な講座例と価格帯 | 向いている人 |
| 最安値・自習型 | 講義動画と資料のみ提供。質問対応なし、または別料金。圧倒的に安い。 | スキルアップNeXt (5.5万円〜)、ラビットチャレンジなど | プログラミング実務経験者、独学が得意な人、コストを最小限に抑えたい学生。 |
| バランス型 | オンライン完結だが、チャットでの質問対応や課題添削がついている。 | Avilen (9.6万円〜16.5万円)、キカガクなど | 実装に不安がある人、確実に合格したい人。合格率の高さを重視する人。 |
| 高付加価値・対面型 | 講師によるライブ講義やハンズオン。短期集中コースもあり。 | GETT Proskill (5.4万円〜)、デロイトトーマツ (21.5万円〜) | 企業研修、短期間で強制的に学習時間を確保したい人。 |
- 選定のポイント: 自身のPython力と数学力に自信がない場合は、安さだけで選ぶと課題のコードが書けずに挫折するリスクが高い。Avilenのように「合格者数No.1」や「合格率90%超」を謳う講座は、教材の質やサポートの手厚さに定評があり、投資対効果が高い場合がある8。逆に、既にエンジニアとしてバリバリ働いているのであれば、最安値の講座を選び、浮いた費用を書籍購入に充てるのが賢明である6。
フェーズ2:基礎固めと数学・Pythonの習得(期間:1ヶ月)
認定プログラムが始まる前、あるいは受講初期に、G検定では曖昧にしていた部分を徹底的に補強する。
- 数学(線形代数・微積分):
- G検定では「行列」という言葉を知っていればよかったが、E資格では「行列の積の計算($(m \times n) \cdot (n \times p) = (m \times p)$ の次元確認)」や「偏微分の連鎖律(Chain Rule)」を手計算で行える必要がある。特に**行列のサイズ感覚(Shape)**は、後の実装問題でバグを埋め込まないために極めて重要である。
- 推奨学習:大学教養レベルの線形代数・解析学の参考書、または認定プログラムの事前学習教材。
- Pythonライブラリ:
NumPy: ブロードキャスト機能、スライス、変形(reshape, transpose)を自在に操れるようにする。E資格の実装問題は、for文を使わずにNumPyの機能で行列演算を行うことが求められることが多い。Pandas,Matplotlib: データ前処理と可視化のために必須。
フェーズ3:認定プログラムの受講と修了試験(期間:1ヶ月〜3ヶ月)
講座のカリキュラムに従い学習を進める。ここでの目標は「修了試験の突破」である。多くの講座では、修了試験自体が本番試験と同等かそれ以上の難易度に設定されている。
- 課題の実装:
- 「写経(コードを書き写すこと)」だけで満足せず、なぜその引数が必要なのか、変数の次元がどう変化しているかを一行ずつ理解する。
- 特に「誤差逆伝播法」をスクラッチで実装する課題は、ディープラーニングの理解における最大の山場である。ここを疎かにすると、応用問題が解けなくなる。
- 修了試験対策:
- 講座から提供される模擬試験を繰り返し解く。不合格になると再受験に費用や期間がかかる場合があるため、一発合格を目指して集中して取り組む。
フェーズ4:本番試験対策(期間:1ヶ月)
受験資格を得たら、試験日(2月または8月)に向けて試験特化の対策を行う。
- 「黒本」の活用:
- E資格のバイブルとされる通称「黒本(徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集)」を周回する。出題傾向に慣れ、問題を解くスピードを上げる。
- シラバス改訂への対応:
- 認定プログラムの教材が古い場合、最新のシラバス変更点(例:2024年のXAI追加など)がカバーされていない可能性がある。JDLA公式サイトや技術ブログを確認し、新しいトピック(Grad-CAM, LIME, SHAP等)については個別に学習して知識を補完する4。
- CBT模試:
- 画面上で長いコードを読む訓練をしておく。紙の問題集とは異なり、スクロールしながらコードの前後関係を把握するスキルが必要となる。
5. 合格者や不合格者の生の声
Web上のブログ、技術記事、SNS、および講座提供事業者のインタビューから、受験者のリアルな体験談を分析する。成功者と失敗者の行動パターンの違いが浮き彫りになる。
5.1 合格者の声:成功の要因
- 事例A:完全未経験からの挑戦(合格率の高さに慢心しない)
- 「AI知識ゼロ、Python未経験からスタートしたが、3ヶ月間平日は2時間、休日は6時間を確保して合格した。最初は数式アレルギーがあったが、プログラムのコードと数式を対応させて理解することで克服した。講座の課題は大変だったが、それをやり切った自信が本番でも生きた」11。
- 分析: 未経験者は学習時間の確保が全てである。G検定合格者であっても、実装経験がない場合は「未経験」と同じ心構えで臨む必要がある。
- 事例B:良質な講座とコミュニティの活用
- 「Avilenの講座を受講。教材の網羅性が高く、試験対策問題が充実していたため、初見の問題が少なく感じた。受講者コミュニティで質問し合える環境があり、モチベーションを維持できた」9。
- 分析: 独学に近い形式よりも、他者との交流や手厚いサポートがある環境の方が、挫折率を下げ、結果的に合格への近道となる。
5.2 不合格者・苦戦者の声:失敗の要因
- 「時間が足りない」
- 「120分で100問以上を解くスピード感が想定以上だった。特に前半の応用数学の計算問題で悩みすぎてしまい、後半の知識問題(機械学習・深層学習)を解く時間がなくなった」。
- 分析: 時間配分(タイムマネジメント)の失敗は最も多い不合格要因の一つである。わかる問題から解く、計算に時間がかかりそうな問題は後回しにする等の戦略が必須である。
- 「Pythonコードの穴埋めでパニック」
- 「理論は理解していたつもりだったが、いざコードの穴埋めになると、前後の文脈や変数のShapeが追えずにパニックになった。TensorFlowとPyTorchの書き方の違いにも戸惑った」。
- 分析: 「読む」訓練不足である。自分で書けるだけでなく、他人が書いたコード(特にライブラリ特有の作法)を読み解く能力が試験では問われる。
- 「過去問の暗記に頼りすぎた」
- 「黒本を完璧にしたつもりだったが、本番では少し捻った問題や新傾向の問題(XAIなど)が出て対応できなかった」。
- 分析: E資格は過去問と同じ問題が出るわけではない。原理原則を理解していないと、設問の表現が変わった瞬間に解けなくなる。
6. 試験に関する情報(統計データ分析)
過去5年間の受験者数、合格者数、合格率の推移を以下の表にまとめる。このデータから試験の難易度トレンドと市場の動向を読み解く。
6.1 受験者数・合格者数・合格率の推移 (2020年〜2024年)
| 開催回 | 試験時期 | 受験者数 (名) | 合格者数 (名) | 合格率 (%) | 累計合格者数 | 備考・特記事項 | 出典 |
| 2020#1 | 2月 | 1,076 | 709 | 65.50% | 1,660 | 初期の難関回。他社平均合格率が低迷。 | 9 |
| 2021#1 | 2月 | 1,723* | 1,324 | 73.6%* | - | 受験者数が急増。コロナ禍でのDX加速が影響か。 | 9 |
| 2021#2 | 8月 | 1,170 | 872 | 74.53% | 3,856 | 合格率が高水準で安定。 | 14 |
| 2022#1 | 2月 | 1,327 | 982 | 74.00% | 4,838 | 受験者数が1300名台で安定。 | 2 |
| 2022#2 | 8月 | 897 | 644 | 71.79% | 5,482 | 受験者数が減少傾向。シラバス改訂の影響か。 | 16 |
| 2023#1 | 2月 | 1,112 | 807 | 72.57% | 6,289 | 再び1000名台に回復。 | 17 |
| 2023#2 | 8月 | 1,065 | 729 | 68.45% | 7,018 | 合格率が70%を割り込み、難化の兆し。 | 18 |
| 2024#1 | 2月 | 1,194 | 867 | 72.61% | 7,885 | 安定した受験者数。 | 19 |
| 2024#2 | 8月 | 906 | 600 | 66.23% | 8,485 | 合格率が大きく低下。難化傾向が鮮明に。 | 3 |
*2021#1の受験者数は合格者数と合格率からの推計値を含む。
6.2 統計データから読み取れるインサイト
- 「合格率60〜70%」の数字の裏側
- 表面的には、国家資格(15%程度)等と比較して高い合格率に見える。しかし、これを「簡単な試験」と誤解してはならない。E資格の受験者は、「数十万円の受講料と数十時間の学習時間を投じて認定プログラムを修了した」極めてモチベーションと基礎学力が高い層に限定されている。この「精鋭集団」の中での競争であることを認識する必要がある。2024#2での合格率66.23%への低下は、試験問題の質的変化(難化)や、生成AIブームにより初学者の参入が増えた結果、対策不足の層が含まれた可能性を示唆している3。
- 受験者数の季節性(2月>8月)
- 例年、第1回(2月開催)の方が第2回(8月開催)よりも受験者数が多い傾向にある(2021年、2022年、2024年いずれも同様)。これは、企業の教育研修予算の消化サイクル(年度末に向けて資格取得を推奨する)や、学生が春休み期間を利用して受験するパターンが定着しているためと考えられる。
- 科目別平均得点率の傾向
- 2024#1の結果(応用数学58.90%、機械学習66.16%、深層学習61.17%、開発環境63.26%)20や、2024#2の結果(応用数学59.89%、機械学習58.07%、深層学習56.03%、開発環境68.50%)3を見ると、「応用数学」や「深層学習」の得点率が60%前後と低いことがわかる。一方で「開発環境」は比較的得点率が高い。これは、多くの受験者が数学的基礎や深層学習の複雑なモデル構造の理解に苦戦していることを如実に示している。
- 2025年以降の試験スケジュール
- 2025#1: 2025年2月21日(金)〜2月23日(日)
- 2025#2: 2025年8月29日(金)〜8月31日(日)
- 試験申し込みは試験日の約2ヶ月半前から開始される3。受験計画を立てる際は、このスケジュールから逆算して認定プログラムの修了時期を設定する必要がある。
7. まとめ
G検定合格者にとって、E資格への挑戦は、AI人材としてのキャリアを「活用・企画」のフェーズから「実装・開発」のフェーズへと昇華させるための最良の選択肢である。
本調査を通じて明らかになった重要ポイントを総括する。
- G検定との決定的違いは「実装力」: E資格は「知っている」を「作れる」に変えるプロセスである。認定プログラムを通じて獲得する数理的理解とコーディング能力は、ブラックボックスになりがちなAIモデルを制御下に置くための必須スキルとなる。
- 認定プログラム選びが合否を分ける: 高額な投資となるため、自身の現在のスキル(特にPythonと数学)を冷静に見極め、サポート体制の有無で講座を選ぶべきである。価格だけで選ぶと、修了試験すら突破できないリスクがある。
- 数学から逃げない: 統計データは、多くの受験者が「応用数学」で苦戦していることを示している。線形代数や確率統計の基礎を疎かにせず、数式の意味を言語化できるレベルまで理解を深めることが、合格への最短ルートである。
- 難化傾向への対策: 近年の合格率低下とシラバス改訂(XAIや確率分布の強化)は、試験がより実務的かつ高度になっていることを示している。過去問演習だけでなく、最新技術へのキャッチアップを怠らない姿勢が求められる。
E資格の取得はゴールではなく、日進月歩のAI技術に適応し続けるための「基礎体力」を身につけた証である。CDLEという強力なコミュニティを梃子(てこ)にし、継続的に学び続けるエンジニアとしてのキャリアを、本資格を起点として切り拓かれることを切に願う。

